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 この度、共訳本「ブッダのおしえ ~真訳・スッタニパータ~」を
講談社から出版することになりました。
お釈迦様のことばに一番近いと言われている初期仏典で、パーリ語
(サンスクリット語の俗語)で書かれたものを現代語訳したものです。
2003年春に妻三千代を亡くしてから、仏教の書物や講座を彷徨って
おりましたが、こころ安らぐものは見つかりませんでした。
そんな折、サンスクリット語の師と仲間に出会いました。 その後、
出版にいたるまでは、「あとがき」に書かれているとおりです。
「スッタニパータ」は「経集」と訳されるように、1149の偈(詩)と
いくつかの散文から成っています。 物語ではありませんので、どこ
からでもお読みいただけます。
とりわけ私の好きな経に、≪2重の観察≫というのがあります。
ブッダの悟りは、「無心になろうとする瞑想」や「苦行」によって
得られたものではありません。 それは「徹底的に考える瞑想」の末に
到達された≪縁起の法≫であると言われますが、この≪2重の観察≫
には、その原型を見ることができます。
そして、ブッダのおしえは、「念仏を唱えれば救われる」ということ
でも、「仏像を拝めば救われる」というようなことでもありません。
方丈記の一節に「佛の教え給ふ趣は、事にふれて執心なかれとなり」
とあります。 将にそのとおりなのですが、執着しないように努める
ということもまた「こだわり」なので、これを実践するのは、私に
とってなかなか難しいものがあります。
この本をお近くに置いていただき、折にふれてお読みいただければ、
これに優る喜びはございません。

                      2016年5月
                        川根佑介